胸の奥の「心音」に耳を傾ける
7月27日は「世界頭頸部がんの日」。世界頭頸部癌学会が2014年(平成26年)、認知度向上および早期発見できる体制を普及させることを目的に制定した。
頭頸部がんは、口腔がん(口の中。半数以上は舌がん)、鼻腔・副鼻腔がん(鼻の中)、咽頭・喉頭がん(喉)、唾液腺がん(唾液を作る袋)、甲状腺がんなどを指す。国立がん研究センターのデータ(19年)によると、日本では、がん全体の約5%に当たり、罹患者数1位の大腸がん(約16万人)と比べると約3分の1と少ない。
食事、呼吸や発声、嚥下などの機能を有しているため、患者のQOL(生活の質)が大きく低下する場合も。だが、初期症状が乏しいことから早期発見は困難。健康診断や人間ドックの検査項目にもなく、見落とされやすい傾向にある。近年、著名人などが罹患を公表し、認知度も高まっている。
本紙の信仰体験のページでも、頭頸部がんと闘っている友の命の叫びが刻まれている。
東京・墨田区の男子部員は25歳の時、舌がんのステージ3と診断された。舌の半分以上を切除し、神経が残った部分はわずか。話しにくくなり、流動食になった。翌年に再発。“何で自分ばかり。もう十分苦しんだ……”と、絶望の淵に沈んだ。家族や同志に励まされ、御本尊に猛然と祈り始めると、“大丈夫かな”という不安が、“どんな姿になろうと、信心のことを語り抜く”という誓いへ。あふれる思いを、手術直前に見舞いに訪れた友人に語っていた。周囲の支えへの感謝とともに「絶対に乗り越えてみせる!」と伝えると、いつもは話をそらす友人が真剣に話を聞いてくれた。手術は成功。その後、肺への転移はあったものの、負けずに祈り治療し、正社員採用を勝ち取る。最近では闘病体験の原稿を作成、会合で母が代読し、信心の喜びを広げている。
社会的な理解の遅れもあり、頭頸部がんとの闘いに孤独を感じる人は少なくない。だからこそ、周囲の支えがどれほど大切か――。
池田先生は、人を孤独にさせてなるものかと、「悩みに寄り添って、その苦しい『心音』に耳を傾けてあげなければ」と語る。
胸の奥の苦しみの心音が聞こえるまで相手の苦悩に耳を傾ける。蘇生への題目を送り、“あなたは一人じゃない”と、自身の心音を響かせる励ましを広げていきたい。
心音が聞こえるまで相手の苦悩に耳を傾ける。簡単なようで簡単ではない。

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