終末期ケア【2日目】

# 終末期ケア専門士 7日間学習プログラム

## 【2日目】痛みや苦しみへの対応

### 1日目の振り返り(3分復習)

**昨日の重要ポイント:**
1. ✅ 「治す」→「支える」への視点転換
2. ✅ 本人の気持ちを最優先
3. ✅ 体と心、両方の苦しみに目を向ける
4. ✅ その人らしさを大切に
5. ✅ 家族も支える対象

**昨日から実践できていますか?**
- [ ] 本人の希望を1つ聞けた
- [ ] 「痛みはありませんか?」と確認した
- [ ] 「頑張って」以外の声かけをした

→できていなくても大丈夫!今日から意識しましょう。

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## 【2日目の目標】
苦しみを早く見つけて、適切に対応できるようになる

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## 1. 終末期の「苦しみ」は4つある

### 全体像を理解する
```
体の苦しみ ─┐
心の苦しみ ─┼─→ 全部つながっている
社会的苦しみ─┤     どれか1つでも
霊的苦しみ ─┘     楽になると他も軽くなる
```

### ① 体の苦しみ(身体的苦痛)
**よくある症状:**
- 痛み(最も多い)
- 息苦しさ
- だるさ、疲れやすさ
- 吐き気、食欲不振
- 便秘、下痢
- 眠れない
- 口の渇き

### ② 心の苦しみ(精神的苦痛)
- 不安、恐怖
- 悲しみ、落ち込み
- イライラ、怒り
- 孤独感
- 混乱

### ③ 社会的苦しみ
- 仕事や役割を失う喪失感
- お金の心配
- 家族に迷惑をかける申し訳なさ
- 人間関係の悩み

### ④ 霊的苦しみ(スピリチュアルペイン)
- 「なぜ自分が」という問い
- 人生の意味を見失う
- 死への恐怖
- 「生きてきた意味はあったのか」

**重要:** 体の痛みがあると、心も不安定になります。逆に心が落ち着くと、痛みも和らぐことがあります。

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## 2. 痛みの見つけ方(観察のコツ)

### 「痛い」と言わない人が多い理由
- 我慢強い
- 「迷惑をかけたくない」
- 「もっと悪くなると思われたくない」
- 認知症などで言葉で伝えられない

### 痛みのサイン(こんな様子に注目!)

**表情:**
- [ ] 眉間にしわが寄る
- [ ] 歯を食いしばる
- [ ] 目を固く閉じる
- [ ] 表情が硬い、こわばっている

**動き・姿勢:**
- [ ] 体を動かさない、じっとしている
- [ ] 特定の体勢ばかり取る
- [ ] 寝返りを嫌がる
- [ ] 体の一部をかばう、押さえる

**行動の変化:**
- [ ] 急に無口になった
- [ ] 食事量が減った
- [ ] 好きなことに興味を示さない
- [ ] 夜眠れていない
- [ ] イライラしている

**声・呼吸:**
- [ ] うめき声を出す
- [ ] 呼吸が速い、浅い
- [ ] 息を止めるような呼吸

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## 3. 症状別の具体的対応

### 🔴 痛みがあるとき

**すぐにすること:**
1. **場所を確認**
   - 「どこが痛みますか?」
   - 指差してもらう
  
2. **強さを確認**
   - 「10段階で何点くらい?」(10が最も痛い)
   - 「じっとしていても痛い?動くと痛い?」
  
3. **いつからかを確認**
   - 「いつから痛みますか?」
   - 「ずっと痛い?時々痛い?」

4. **すぐに医療職に報告**
   - 上記の情報を伝える
   - 痛み止めの調整が必要

**日常でできる工夫:**
- 楽な姿勢を一緒に探す
- クッションで体を支える
- そっと手を当てる、さする
- 気が紛れる話題を提供
- 「痛み止め使いましょうね」と肯定的に

**やってはいけないこと:**
- ❌ 「もう少し我慢して」
- ❌ 「薬に頼りすぎ」
- ❌ 無理に動かす

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### 😮‍💨 息苦しさがあるとき

**観察ポイント:**
- 呼吸の回数(1分間に何回?)
- 肩で息をしているか
- 会話が途切れ途切れか
- 顔色(青白い、紫がかっている)

**すぐにすること:**
1. **楽な姿勢に**
   - 上半身を起こす
   - 前かがみで机に腕を乗せる姿勢
  
2. **風を送る**
   - 扇風機、うちわ(顔に優しい風)
  
3. **落ち着かせる**
   - 「一緒に呼吸しましょう」
   - ゆっくり呼吸を見せる
  
4. **医療職に連絡**
   - 酸素が必要かもしれない

**声かけ:**
- 「苦しいですね、すぐに楽にしますね」
- 「ゆっくりでいいですよ」

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### 🤢 吐き気があるとき

**対応:**
- 食事を無理強いしない
- 吐きたいときは我慢させない(洗面器を用意)
- 口の中をきれいに(さっぱりする)
- 嫌な臭いを避ける
- 少量ずつ、食べられるものを
- 医療職に相談(吐き気止めがある)

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### 😴 だるさ・疲れやすいとき

**理解すること:**
- 病気そのものによる疲労(休んでも回復しにくい)
- 無理させない

**対応:**
- やりたいことの優先順位を決める
- 「休むことも大切」と伝える
- 短時間で楽しめることを提案
- 代わりにできることは手伝う

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### 😟 不安・落ち込みがあるとき

**効果的な対応:**

**❶ とにかく聞く(傾聴)**
```
良い例:
本人「もうダメなのかな...」
あなた「そう感じているんですね」(黙って聞く)

悪い例:
本人「もうダメなのかな...」
あなた「そんなことないですよ!元気出して!」
```

**❷ 気持ちに名前をつける**
- 「不安なんですね」
- 「寂しい気持ちなんですね」
→ 言葉にするだけで楽になることがある

**❸ 具体的な不安を聞く**
- 「何が一番心配ですか?」
- 解決できることがあるかもしれない

**❹ そばにいる**
- 何も話さなくてもいい
- 手を握る、背中をさする

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## 4. 医療職への報告の仕方

### 伝えるべき5つのポイント

```
【報告テンプレート】
1. いつから:「今朝から」「30分前から」
2. どこが:「お腹」「胸」「全身」
3. どんな様子:「うめいている」「食事が取れない」
4. 強さ:「10点満点で8点くらい」
5. 今の対応:「上半身を起こしています」
```

**実際の報告例:**
> 「○○さん、30分前から胸が苦しいと訴えています。呼吸が速く、1分間に28回です。顔色も少し悪いです。上半身を起こして扇風機で風を送っていますが、まだ苦しそうです。」

**NGな報告:**
- 「なんか苦しそうです」→ 具体性がない
- 「いつもと違います」→ 何が違うのか

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## 5. 今日から実践!観察シート

### 日々の観察チェックリスト

**朝の観察(5分):**
- [ ] 表情は穏やかか
- [ ] よく眠れたか本人に確認
- [ ] 痛みや苦しさはないか
- [ ] 今日やりたいことを聞く

**日中の観察(気づいたら):**
- [ ] 食事量
- [ ] 姿勢や体の動き
- [ ] 会話の内容や量
- [ ] いつもとの違い

**夕方の観察:**
- [ ] 疲れ具合
- [ ] 夜の不安がないか
- [ ] 明日の希望を聞く

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## 6. 家族へのサポート

### 家族がよく言う言葉への対応

**「痛み止めを使いすぎでは?」**
→ 「必要な分だけ使っています。痛みを我慢する方がつらいです」

**「何もしてあげられない」**
→ 「そばにいてくれるだけで安心されていますよ」

**「もっとできることはないか」**
→ 「○○さんの好きな音楽をかける、手を握る、それだけでも十分です」

**家族も疲れている:**
- 「少し休まれてはどうですか」
- 「○○さんも、ご家族が元気でいることを望んでいますよ」

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## 7. 2日目のまとめ

### 今日学んだ重要ポイント

1. **苦しみは4種類**
   - 体・心・社会・霊的→全部つながっている

2. **痛みは我慢させない**
   - サインを見逃さない
   - すぐに医療職に相談

3. **観察が最も大切**
   - 表情、動き、呼吸、行動の変化

4. **「聞く」が最大のケア**
   - アドバイスより傾聴

5. **報告は具体的に**
   - いつ、どこ、どんな様子、強さ、対応

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## 8. 明日からの実践課題

### 必ずやること(3つだけ)
1. [ ] 朝一番に「痛みや苦しいことはないですか?」と確認
2. [ ] 1日1回は表情をじっくり観察(30秒でOK)
3. [ ] 気づいたことをメモする(記録に残す)

### できればやること
- [ ] 本人の「不安」を1つ聞き出す
- [ ] 家族に「お疲れ様です」と声をかける
- [ ] 医療職に1回は観察内容を報告する

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## 明日(3日目)の予告

**テーマ:コミュニケーションの技術**
- 話しやすい雰囲気の作り方
- 難しい質問への答え方
- 沈黙の活かし方
- 認知症の方とのコミュニケーション

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### 今日の振り返り(業務後に2分)

1. 今日、苦しみのサインに気づけましたか?
2. 医療職への報告はできましたか?
3. 明日、特に観察したいことは?

**2日間お疲れ様でした!着実に力がついています。明日も一緒に学びましょう!**

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