否定することで、子どもの心には、目には見えない“ひび”が入ります。心のひびが蓄積していくと、自分に自信を持てなくなったり、親には何も話さなくなったりします。子どもにとって、家庭が安全地帯ではなくなる恐れもあります。
■パワハラになる?
では、否定しないために、親は何を心がければいいのか。その大前提が、「親には親の都合があるように、子どもには子どもの都合がある」と理解することです。 例えば、親としては学校から帰ってきたら、早く宿題を終わらせた方がその後、ゆっくり休めると考えます。しかし、子どもは“ちょっと休みたい”“今はやりたくない”と感じているかもしれません。そこに親がよかれと思って、あれこれ指示すると、子どもは反発し、互いに嫌な思いをすることになりかねません。 親は人生経験がある分、「こうした方がいい」というサンプルをいくつも持っています。経験が未熟な子どもを前にすると、その引き出しを開けたくなります。ですが、子どもなりの理由や事情があるわけで、子どもの気持ちや考えをなるべく受け止め、「うんうん……だよね」とそのまま承認するようにしたいものです。そうすると、優しい会話がつくりやすくなります。 また、子どもなりの都合を言語化して伝える力が十分ではないと理解して、耳を傾けたり、見守ったりすることを大切にしてほしいと思います。 次に、子どもに対する振る舞いを客観的に捉え行動するには、どうすればいいでしょう。私は、「会社だったら、パワハラになる?」という視点を持つことを提案しています。 会社ではパワハラ禁止ですが、親子関係においては“パワハラまがい”の言動をしている親御さんは少なくありません。感情的に怒りそうになった時は、自分に問いかけるといいと思います。
≪こんなふうに伝えています≫
私が家庭で工夫している、否定しない会話術を紹介します。お子さんのタイプによって反応は変わってきますが、少しでも参考になればうれしく思います。
●面白く反応する
子どもが「疲れた」と言ってきたら、「100年早いよ」と言い返しそうになりませんか。 そのまま伝えると、対立というか、けんか腰になってしまうので、私は「2億5000年ぐらい早いよ」と面白く反応するようにしています。 子どもたちは、「父ちゃん、何言っているの」という感じになる時もあれば、「人間は何年、生きるんだろうね」と他の話題に切り替わる時もあり、その場の雰囲気が緩和されます。
●褒め言葉よりも
わが家では、子どもの疲れ具合や様子を見ながら、「宿題は、やる方向?」と聞いたりしています。 たいていの場合は「やるよ」と答えてくるので、「分からないところがあれば、手伝えるから教えてね」と伝えつつ、「ここまでは一人でできそうだね。そこから先は手伝おうか」と言います。 次に「ここまで、できたね。もしかしてこの先も一人でできそう? やってみよう」と話し、そんなやりとりを数回繰り返すうちに、宿題が終わります。 「偉いね、すごいね」などの褒め言葉は使わず、会話のキャッチボールによってやる気を引き出せるように工夫しています。
●同じ主張には
息子はハンバーガーショップを見かけると、「食べたい、食べたい!」と言い続けることがありました。いつも同じ主張をされると、言われる側はとても疲れます。 そこで私は、「『ハンバーガーを食べたいんだけれど、(家族の)みんなはどう思う?』って聞いてほしい」と伝えました。不思議なもので「どう思う?」と聞かれると、ただ主張される時とは、親の心証が全く違ってきます。 家庭は“小さな社会”です。親やきょうだいとの会話を通して、自分の希望だけを主張するのではなく、「相手の意見を聞くことで反応が変わる」と学んでもらえたらと思います。
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